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枯らすことを、恐れないで。ビギナーでもできる観葉植物の植え付け

ふと目にするだけで、心がほっと落ち着く植物。近頃は家で過ごす時間の豊かさを求めて、インテリアとして観葉植物を取り入れる方が増えています。SNSでも、植物のある素敵なお部屋を見かけることが多くなりました。

憧れの植物のある暮らし。ですが、私のようなビギナーには、何からはじめたらいいのか分からないことばかり。枯らしてしまった経験があり、なかなか一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな「ビギナーや、枯らしてしまった経験のある方でも扱いやすく」をコンセプトに開発された植木鉢「プラントポット」をご紹介します。

「枯らすことを、恐れないで欲しい」そう語るのは、「Yard Works(ヤードワークス)」代表で造園家の天野慶さん。ビギナー向けに植え替えワークショップなども主催される天野さんに、植物のある暮らしの魅力や選び方、「プラントポット」を使った観葉植物の植え付け方について教えていただきました。

▼目次
見た目だけじゃない、植物のある暮らしの魅力
植物を選ぶポイントは「耐える力」と「場所」
枯らすことを、恐れないでほしい
道具と資材は最小限。簡単にできる植え付け方
ビギナーでも育てやすい、おすすめ植物8選
※タップすると移動できます
 

見た目だけじゃない、植物のある暮らしの魅力

ー暮らしの中に植物を取り入れると、どんなところがよくなると感じますか?

空間に動きが出せることなんじゃないかなと思います。部屋の中だとテーブルや椅子など直線のものが多いので、自然で有機的なものが入ると空間がやわらかくなるように感じます。

それと同時に、水やりをしたり剪定したり、生活の中でひと手間ふた手間と手をかけなきゃいけないものだから面白さを感じられるということと、やっぱり部屋に植物があると気持ちがいいよねっていうところですかね。

 

選ぶポイントは「耐える力」と「場所」

ー「育てやすい植物」の「育てやすい」とは、どういうことでしょうか?

観葉植物は元々南国に自生しているものなんですね。例えばガジュマルは観葉植物のイメージがあると思いますが、沖縄に行くと街路樹として植えられています。そういった、本来であれば屋外で生きている植物を部屋で育てるので、日光も当たらず、風も入らず、環境としては過酷です。なので、「その環境でも耐えうるもの」が「育てやすいもの」かなと。ホームセンター等で売っているものは比較的育てやすいものだと思います。

ー観葉植物を選ぶときのポイントはありますか?

まずは植物を買いに行く前に、「どこに置こうかな?」と想像してみましょう。植物には日陰に強いもの、乾燥に強いもの等いろいろあるので、そこに置くとしたら「日って入るのかな?」とか、「風通しはどうだろう?」とか、場所のリサーチをした状態で行ってほしいです。

ーどこに飾ると、家の中が素敵な空間になりますか?

現場でレイアウトするときも毎回そうしていますが、例えば家だと玄関からリビングに行くまでの間に扉があると思うんですよね。その扉を開けたときにどう見えるか、キッチンから見たときは、ソファに座ったときはと、想像しながら配置すると収まりがいいんじゃないかなと思います。家の中だと飾る場所が限られてしまいますが、ハンギングだとそれが広がるのかなと思ってます。

 

枯らすことを、恐れないでほしい

ー観葉植物を暮らしに取り入れて得られる体験とはなんでしょうか?

植物は生き物なので、お世話がうまくいったとき、1年前と今、そしてさらに1年後と表情が変わっていると思うんですよね。それが、変化を愉しめるっていうもの。

これはみなさんに声を大にして伝えたいことなんですが、「枯らすことを、恐れないでほしい」です。僕みたいな仕事をしている人は、人の何倍も枯らしてます。枯らして、「なんでかな」「あの時かな」「こういう扱いをしたからかな」と考えて、何度も試行錯誤した経験があるから今があります。なので枯らすことを恐れないで挑戦してほしいなと思います。

もし枯れたとしてもそれはそれで経験だし、成長したら成長したで面白い。そういうところを直に感じられるのが、得られる体験なのかなって思います。

 

道具と資材は最小限。簡単にできる植え付け方

手間をかけた分、変わっていく植物の表情。枯らしてしまっても、やり方を変えてみたらいい。穏やかに語る天野さんの言葉には、“自分でもできるかもしれない”と思わせてくれる力があります。ますます魅力的に感じる植物のある暮らし。ですが、実際に始めるとなると不安が残ります。

そこで今回は、“これさえ押さえておけば大丈夫!”というポイントに絞って、実際に天野さんに植え付けをしていただき、用意するもの・植え方・水のあげ方などを動画にまとめました。

目の前でさくさくと植え付けられていく様子は、あっという間でとてもシンプル。水の捨てやすさをはじめとした「プラントポット」「ハンギングプラントポット」の特徴に加えて、天野さんが感じた魅力も散りばめられています。

これからはじめる方には「プラントポット」、2つ目の植物を検討している方には、飾る場所の自由度が上がる「ハンギングプラントポット」もおすすめです。

植え付け方動画はこちら
▼プラントポット

▼ハンギングプラントポット

 

ビギナーでも育てやすい、おすすめ植物8選

 
天野さんおすすめの育てやすい植物8選をご紹介します。見た目の華やかさや可愛らしさだけではなく、たくましい生命力も持ち合わせた植物たち。ホームセンター等で気軽に手に入りつつ、まだお世話に慣れていないビギナーでも挑戦しやすいものをセレクトしていただきました。

「すべてどちらの鉢にも合いますが、「ハンギングプラントポット」には下に枝垂れる植物がおすすめです」

飾る場所に合わせて、自分好みの植物を見つけてみてください。


①パキラ(雲龍):人の手のように広がる葉が特長。幹に水分を蓄えるため、水やりは少ない回数でOKです
②ミニドラゴンフルーツ:先端に実った果実は熟すと食べられます


③リプサリス(ホルビアーナ):別名森林サボテン。横に広がったあと、枝垂れるように育ちます
④サンスベリア(フランシシー):たくさんの種類のあるサンスベリアの中でもコンパクトに育ちます


⑤シッサス(エレンダニカ):ツル性の植物で、成長するにつれてボリュームが出てきます
⑥フィロデンドロン(シルバーメタル):ツヤのあるメタリックな質感の葉が特長。屋内の明るい場所を好みます


⑦ヒメモンステラ(ラフィドフォラ テトラスペルマ):成長するにつれて葉の切れ込みが深くなっていきます
⑧スキンダプサス(トレビー):ハート形の葉に、白っぽいシルバーの班が入っているのが特長です

※()内は、さらに細かい名称です。同じ植物でも細かい種類でかたちが異なりますので、同じものをお探しの際はチェックしてみてください

 
Profile
天野慶さん
造園家・ランドスケープデザイナー。山梨と東京にも拠点を構える「株式会社Yard Works」代表。植物を主体とした空間デザインを手がけながら、庭で過ごす時間の素晴らしさを伝え続けている。
Instagram:@yardworks