2024.10.18
第8回はファッションやライフスタイルにまつわる雑誌やWEBの編集を手がける安達薫さんが登場。最近引っ越した新居にて、居心地の良いお部屋づくりやマーナ商品の使いこなしを伺いました。
窓からふと目をやれば、のんびりを纏う電車。ロフトにずらりと並ぶかご、ソファにかけられたパッチワークキルト、ゆるやかに流れるAMラジオ。
フリーランス編集者の安達薫さんは、最近、屋根裏のようなワンルームに引っ越してきました。
自分を大切に扱いながら、ほどほどにがんばって、きらくにのんびり。そんな思いが込められた雑誌『SITRUUNA』や『tiny sitruuna』を生み出す安達さん。
心の奥にあるときめきを呼び覚ます世界観は、多くの女性に支持を受けています。
「ずっと自分の部屋が好きです」
と、うれしそうに語る安達さん。一人暮らしをはじめた大学時代から今まで、なんと13回の引っ越しを重ねているそう。
「より心地よい場所を求めて、新しい部屋に住むのが趣味だったんです(笑)幼い頃からティーン向けインテリア誌を愛読していました。だから上京して一から部屋をつくる時はうれしかったですね。すぐにラフォーレ原宿にあった雑貨店『F.O.B COOP』を訪れ、サイドテーブルを選んだのを覚えています」
不思議なことに、年を重ねた今、少女の頃の“好き”に原点回帰していると話します。それはロマンティックを堂々と愛すること。新居のインテリアも一人暮らしをはじめた頃とよく似ているとか。白と木目を基調とした、ほんのひとさじガーリーな空間。
「ここ数年、ルーツはずっと好きだと実感。サンリオや絵本、ピンクにかご。かわいいものと距離を置いた時期もありましたが、何周か回って、最近は『もう大人だし、好きならいいよね』って。受容できるようになりました」
安達さんが生活雑貨を選ぶ基準は、ときめく風景に調和すること。
「シンプルで部屋に調和するものが好きです。消耗品は飽きが来ないものを愛用しています。たとえばシンプルなデザインのティッシュ。デスクランプとの組み合わせがすっごく好きで、毎日うっとりするんです」
そして今、心底愛している朝のコーヒー。世界がまだ静かな頃に目を覚まし、お気に入りの豆を挽いてハンドドリップ。アスティエ・ド・ヴィラットのマグを片手に読書にふけったり、タスク整理、ときには執筆。
好きに囲まれた場で好きなことだけ。一日の中で素に戻れるタイニーな時間。
「それを楽しみに毎朝起きるくらい、コーヒーが大好き。清々しい空気の中、自分のためにたっぷり淹れて、ゴクゴク飲むのが至福です」
道具も一通り揃えている中、今回使ってみてお気に入りになったのはドリップケトル。ステンレス製でキッチンにもなじみます。
「マーナのケトル、とても使いやすいです。もともと使っていたやかんは沸騰すると熱いのでミトンが必要で…。持ち手をそのまま握れるし、お湯を細くピンポイントで注げる。これで淹れはじめてからコーヒーがおいしくなった気がします」
すっかり大人になった私だけど、あの頃のときめきは今も心に息づいている。忙しいとつい忘れちゃうから、部屋という小さな巣で好きをあたため暮らそう。そうすれば、自分らしく生きていける。そんな思いを胸に、安達さんの部屋を後にしました。
写真と文:七緒