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小さな工夫が、毎日の使いやすさになる「シートケース」

2026.7.31

ウェットティッシュやおしりふきは、「今、使いたい」という瞬間に手に取るものです。だからこそ、開けやすさも、乾きにくさも、どちらも妥協したくない。「ワンタッチで開くシートケース」はそんな思いをかたちにしながら、ユーザーの声とともに進化を続けてきました。

【シートケース プロダクト担当】山田

「開けやすくて、乾かない」シートケースを

―シートケースはどんなきっかけで開発が始まったのでしょうか。

このシートケースが生まれたのは、マーナの保存容器とほぼ同じタイミングでした。先行して発売していた「開けやすさ」「密閉性」を両立した調味料ポットと同じシリーズ展開として開発がはじまったそうです。

ウェットティッシュや除菌シートは、水分を保ちながら、使いたいときにサッと取り出せることが理想です。密閉性は高いけれど開けにくい。開けやすいけれど乾きやすい。久しぶりに使うとシートが乾いていたという経験がある方も多いのではないでしょうか。

―山田さんは、途中から開発を引き継がれたそうですね。

はい、私が担当になったのは2022年ごろからで、Mサイズの見直しを進めるタイミングでした。発売してから好評の反響を多くいただいていましたが、もっとこうだったら良いのに、というご意見も多く、より良くなるようリニューアルしました。

小さな工夫が、毎日の使いやすさにつながる

―当時のリニューアルで、一番苦労したことは何でしたか。

一番難しかったのは、やはり「開けやすさ」と「密閉性」を両立させながらのアップデートです。密閉性を高めようとすると開けるときに力が必要になり、開けやすさを優先すると乾きやすくなってしまう。そのベストバランスをどう取るかが、最大の課題でした。

密閉性を保つため、本体には2つのパッキンを採用しています。パッキンがしっかり密着することで空気が入りにくくなり、シートの乾燥を防ぐ構造です。一方で、開けるたびに力が必要では毎日使うものとしてはストレスになってしまいます。そこで、両方をかなえる方法を細かな構造から見直していきました。

―「開けやすさ」のために、どんな工夫をしたのでしょうか。

発売当初はボタン式でしたが、押すのに少し力が必要で、「開けにくい」というご意見もいただいていました。そこでフタの天面を軽く押すだけで開くラッチ式へ変更しています。

さらに、2025年春頃には、ラッチの爪を0.1mm小さく調整することで、閉まりながらもスムーズに開く構造に。シンプルな製品だからこそ、0.1mmの違いでも使い心地は大きく変わります。細かな調整を積み重ねながら、毎日ストレスなく使える開け心地を目指しました。

―実際に、使い心地も変わりましたか?

かなり良くなったと思います。ウェットティッシュは、掃除中や料理中など、手が汚れているときに使うことが多いですよね。ラッチ式なら指だけでなく、手の甲や肘でも開けやすくなりました。

レビューでは、「子どもが自分で開け閉めできるようになった」というコメントもいただいています。開ける動作が少し変わるだけで、毎日の使いやすさは大きく変わる。そのことを、ユーザーのみなさんの声から改めて実感しました。

ユーザーの声から生まれたSサイズ

―Sサイズはどんなきっかけで誕生したのですか?

シートケース Mは、おしりふきやフローリングシートなど、さまざまなサイズのシートを袋のまま入れられるよう、少し大きめに設計しています。

そのぶん、「除菌シートには少し大きい」「もうひと回り小さいサイズが欲しい」という声が、以前から数多く寄せられていました。1件や2件ではなく、同じような意見が何十件も届いていたこともあり、「やはり必要とされているサイズなんだ」と感じて、開発がスタートしました。

―小さいといっても個人差がありますよね。サイズはどのように決めたのですか?

パッと見て「小さい」とわかるサイズ感にしたいけれど、小さくなったことで使いにくくなっては意味がありません。Mサイズとのバランスには特に時間をかけました。

まず市場でよく使われているシートのサイズを調査し、他社製品も比較しながら決めていきました。ただ小さくすればいいわけではなく、取り出しやすさや見た目のバランスも保たなければならないので、意外と細かい調整が必要でした。


―そのまま小さくするだけではないのですね。

そうなんです。開口部までそのまま縮小すると、シートが取り出しにくくなってしまうため、開口部の広さや本体のバランスを一から見直しました。

サイズ違いを追加するというより、シートケースという製品自体をより良くする。その気持ちで開発を進めました。完成までにはおよそ1年半かかりましたが、時間をかけたぶん、納得できる仕上がりになったと思っています。

使う人と一緒に育ってきた「シートケース」

―今回、フタには開く向きが分かる目印も追加されましたね。

実は、この目印もユーザーのご意見から生まれたものなんです。以前のシートケースは、とてもシンプルなデザインだったので、「どちらを押せば開くのか分からない」というレビューが届くことがありました。

社内でも同様の声があり詳しく話を聞いてみると、おしりふきをリビングからダイニングへ移動させたり、掃除のたびに持ち運んだりと、置き場所を変えて使うため、向きが分からなくなる場面が多いことがわかりました。なかには、「目印になるように自分でシールを貼っています」という方も。なんとか解消したいと思ったんです。

(目印の形状、位置をたくさんのパターンから検証)

―目印が最小限で、シンプルなデザインが保たれていますね。

評価していただいていたシンプルなデザインはそのまま残したいので、目立ちすぎず、それでいて触ればすぐ分かる形を目指して、何パターンも試作を繰り返しました。

最初は凸形状も検討しましたが、人間工学の知見がある設計メンバーと検証を進める中で、指の腹には凹形状の方が自然になじみ、押したときの違和感も少ないことがわかりました。

一方で、凹みを深くしすぎるとホコリがたまりやすく、浅すぎれば目印として気付きにくくなります。深さや位置まで細かな調整を重ねて、今の形に着地できました。

―改めて、シートケースは山田さんにとってどんな製品ですか。

一度完成したら終わりではなく、使ってくださる方の声を聞きながら育ってきた製品だと思っています。だからこそ今回のSサイズの開発や、目印の追加が実現できました。

私自身も、家のテーブルの上と会社のデスクの上、両方にSサイズを置いています。大きいサイズだとデスクでは少し場所を取ってしまうけれど、Sサイズだとちょうどよくて。友人が買ってくれたと聞いたときや、部屋ごとに色を変えて何個も使い分けているという話を聞いたときは、素直にうれしかったです。

毎日使うものだからこそ、小さなストレスを少しでも減らしたい。その積み重ねが、「なんだか使いやすい」と感じていただける理由になれば嬉しいです。

写真:井手 勇貴
文:高野 瞳