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はじめてのマーナ vol.3 | 選び抜いた道具が、幸せな空気をつくる

2026.8.7

マーナのアイテムは、まだ使ったことがない人や、「この商品だけ持ってる」という人にこそ使ってほしい。きっとうれしい驚きがあるから。この連載では、マーナビギナーの方にマーナ商品を使ってもらいながら、その暮らしをちょっとだけのぞかせていただきます。それぞれの個性やライフスタイルに合わせて、スタッフが心を込めて選んだ「はじめてのマーナボックス」。今回お届けしたのは、神奈川県の一軒家に暮らす、シェフの四宮基稀さんです。

シェフと陶作家が暮らす、一軒家

二階建ての一軒家のドアに手をかけると、「このドア覚えてる!」と懐かしくなりました。年月を重ねた家の、しっかりとしたつくりの、自然な艶が出た床材に、玄関の靴棚。友達の実家に招かれた時のような心地よさを感じる、シェフの四宮基稀さんと、パートナーで陶作家の増田結衣さんが暮らすお家です。

1階には、キッチンとリビング。基稀さんが試作している食べ物や、とっておきの調味料が小窓からの光をやわらかく透かして、なんだか幸せな空気でいっぱい。シェルフには結衣さんがつくった器がところせましと並びます。空間のところどころに、お香や小さなアート作品、植物などが置かれていて、二人の琴線に触れたものがどんなものなのかが伝わってきます。

基稀さんが料理の道を志したのは、29歳の時のこと。音楽を学び、デザインやイベントプロデュースの仕事を経て飲食の世界に飛び込みました。現在は東銀座の和食店で働いています。

「もともと、年を取ったら手作りのカフェをしたいなと思っていました。はじめは料理と関係のない仕事をしていたけれど、今始めてもいいじゃないかと思って。料理は、味同士がはまった瞬間がとても楽しいんですよ」

料理への探索心は並々ならぬものだそうで、結衣さんが本棚の分厚い本を指差しながら教えてくれます。

「気づくと料理の本を読みながら何かつくっています。休みの日はすべての料理をつくってくれるし、仕事から帰ってきてからもずっとキッチンに立っている。その熱心さには驚かされるんですよ」

はじめてのマーナは、「料理のハサミ」

料理に向き合う基稀さんにぜひ使っていただきたいと、マーナからお贈りしたのは「料理のハサミ」です。お肉のプロと開発した「ギザ刃」と「先薄刃」が特長ですが、料理のプロはどんな風に使うのでしょう。

「初めて手に取ってみた時、しっかりしたつくりと刃渡りの長さから、これは良さそうだと思いました。実際に使ってみると、お肉のプロと開発しただけあって、肉の切りやすさや筋の取りやすさが抜群。デザインも一般的な料理ハサミよりも良いし、分解して洗えるのもいいですよね。機能が詰まっているなと感じました」

「これまで使っていたハサミは、ずっと使っていると手が痛くなったんですよね」と続けるのは結衣さん。「料理にこだわりがない私は、これで全部料理ができちゃいそうだなあ、なんて」

魚をまるごと捌ける、力強い使いごこち

時間はちょうどお昼に差し掛かる頃。お昼ご飯をつくるところを見せていただきました。今日のメニューはプラーサムサラダ。

「タイ語でプラーは魚、サムは酸っぱいという意味。炊いたご飯、にんにく、塩、パクチーの根っこなどを塗って、常温で発酵させた魚と、水なす、キウイ、ハーブを和えたものです」

キッチンに立った基稀さんは、一匹まるまるのお魚を見て「全部ハサミで料理できそうです」とおもむろにハサミを分解。刃の部分を皮にあてて、シャリシャリと軽快に鱗をとっていきます。その後ハサミの形に戻し、硬そうな背びれをザクザクと切り取り。「ここは硬いかな」と言う胸びれも、グリップに力をいれるとパチンと切れました。ハサミ一本であっという間にお魚を捌く様子は、なんだか楽しそう。

発酵機で発酵させたお魚に、ハーブを盛り付ける時も、料理のハサミが活躍。細かい刃先を使って、繊細なハーブを切っていきます。結衣さんがつくった元気なクリームイエロー色のお皿の上に盛り付けて、ハーブをハサミで切りながら散らして完成です。

「これまで使っていたキッチンバサミは、一般的な機能しかなかったので、あくまで料理の補助ツールと言う感じでした。このハサミなら、これだけで料理することもできそうですよね」と、しっかりと太鼓判をおしていただきました。

選び抜いたものに囲まれて、つくり、暮らす

「せっかくだから、アトリエを見ていきますか?」と2階にも案内していただきました。粘土と石膏がまじった、どっしりしたにおいが大きく開け放した窓からの風にのっているのがわかります。土を捏ねていると「手が幸せ」という結衣さんは、一人暮らしを始めた頃、ひとつも器を買わないで全て作ろうと決めたのだそう。

基稀さんが「僕も、あんまりものを買わないようにしているかも」と続けます。「特に、道具ですね。なんでもかんでも買えばいい、ではなくて、厳選して選んだものを持ちたいな。と言いながら、キッチンは色んなものがありますけど」とキッチンを指さします。

この家に入ってきた時、キッチンに漂う幸せな空気を感じたことを思い出しました。その秘訣はきっと選びぬかれたとっておきのものが並んでいることなのでしょう。よく磨かれたガラスジャーの中で発酵する調味料、長年時間をともにしてきちんと手に馴染んだ道具、料理する人のことを一番よく知る人が土をこねてつくった器たち。よく見ると、その中にはマーナの調味料ポットもあるのを見つけて、嬉しくなります。ここに、料理のハサミが仲間入りするのが、なんだか楽しみです。

『はじめての◯◯』を教えて

『はじめて』の大きな買い物は?
ISSEY MIYAKEのスーツです。結婚式に参列する時、男性の服装はあまりバリエーションがなく、ちょっとつまらないなと思っていました。そこで去年、ちょっといいスーツをと購入しました。色は黒でも、さりげないプリーツが入っていて気に入っています。

最近取り入れた、『はじめて』の暮らしの習慣は?
発酵に凝っています。ワークショップに行って外国の発酵料理を学んだり、本で見たものを試したりしています。最近では、韓国のメシルチョンという梅を発酵させたシロップをつくりました。キッチンでは、ラオスの魚醤の発酵が進んでいます。

これからやってみたい『はじめてのこと』は?
麹を自分でつくってみたいなと目論んでいます。最近本を読んでいたら、デンマークの有名なレストランのシェフが日本の麹菌を取り寄せて、発酵室で麹をつくっていると知って。せっかく日本に住んでいるのだから、自前の麹で料理の幅を広げてみたいです。

Profile
四宮基稀さん
大阪芸術大学で音楽を学んだのち、デザインやイベント会社などを経て料理の道に進む。現在は東銀座の和食店で働きながら、個人でポップアップイベントなども行う。

写真と文:出川 光