よみもの

2024.6.21

汚れにふれず、きれいを保つ「タッチレスワイパー」

ヘッドにふれず、手元の操作でシートの付け外しが簡単にできる「タッチレスワイパー」。6年の開発期間を経て、いよいよ発売。その魅力を開発者が語ります。

【タッチレスワイパー プロダクト担当】谷口
 
▼目次
1.シートの付け外しが簡単で、しっかり拭ける
2.発案から6年、安堵のため息がもれた瞬間
3.立てかけてリビングに馴染む佇まい
4.いつもの掃除をもっと気軽に、快適に
 

シートの付け外しが簡単で、しっかり拭ける


(開発者の谷口)

─こちらが発売したばかりのタッチレスワイパーですね。最初にどんなものなのか、教えてもらえますか?

ヘッドにふれずにシートをセットできるフローリングワイパーです。まず、床にシートを広げて置いてヘッドを乗せます。ポールにあるボタンを押しながらスライダーを下げ、ヘッドがパカっと開いたら(①)、そのままスライダーを引き上げてセット完了です(②)。


(手元のスライダーを動かしてヘッドを開閉)


(ヘッドの開閉でシートを装着できるタッチレスワイパー

─おおお。ヘッドが虫の足のようにパカっと開いてシートを巻き込むんですね。掃除中もシートがはがれることなく密着していて、拭きやすそうです。

密着の肝は側面のトゲトゲした爪ですね。シートがふんわり乗っているのではなく、折り曲げて爪で挟み込んでいるので、簡単には外れない仕組みになっています。キッチンなど、油汚れにほこりが合わさった、ベタつきのある床も、シートがはがれることなくしっかり拭けます。

─それは頼もしい。掃除を終えて、汚れたシートは……

ゴミ箱の上で、ボタンを押しながらスライダーを下げるとヘッドが開いて、汚れたシートを手でふれることなく、捨てられます。市販のフローリングワイパー用のシート(20×28cm)であれば何でもお使いいただけます。

 

発案から6年、安堵のため息がもれた瞬間

─汚れにふれることなく、シートの付け外しが簡単にできて、しっかり拭ける。画期的ですね。このタッチレスワイパー開発の出発点は?

掃除機のような大きな音がでないフローリングワイパーは、帰宅後など夜のこまめな掃除に適していると思うんです。僕も既存のものを使っていたんですが、シートを付ける際にギュッと指で押し込むのが、煩わしくて。表面だけでシートを捨てるのはもったいないので、裏返して使おうとすると汚れにふれてしまう。

かつ、付けっぱなしにしておくと見た目が美しくない。収納場所に困って、見えないところにしまってしまうとこまめに使わなくなる。この悪循環を解消し、暮らしに馴染むフローリングワイパーをつくりたい、と思ったのが出発点です。

─そこからパカっと開いて掴むアイデアが生まれたのですか?

ギュッと指を押し込む動作をなくすことから、もっと快適に、ワンタッチでできるものにしようと、設計自体は1年ほどで完成したんです。そこから5年……。創業150年を超えるマーナの歴史上、最長の開発期間を更新しました(笑)。


(設計中に描いたスケッチの一部)

─開発期間6年!どんなことに時間がかかったのでしょう?

フローリングワイパーのシートはドライやウェット、いろんなタイプがあって、床もフローリングから塩ビタイル、汚れもほこりに油までさまざま。あらゆる種類のシート、床、汚れに対応するものをつくるのが難しかったです。

簡単にシートが付け外しできることと、拭いたときにシートがはがれないことがどうしてもトレードオフになってしまって。一つ改善すると、一つ問題が生まれる。ヘッドの幅や爪の長さ、スライダーの動きなど、微調整を延々と繰り返しました。

拭き心地も、ヘッド裏の形状の試作をいくつもつくって検討しましたね。

─そして、シートの付け外しは簡単にできるけど、使用中ははがれない、その両方を叶えるフローリングワイパーが完成したんですね。

試作品ができるたびに、検証用に再現した油にほこりが混ざった汚れを拭いていたんですが、ごしごし拭いてもシートがはがれなかった瞬間「やっとできた……」と安堵のため息が漏れました。

 

立てかけてもリビングに違和感なく馴染む佇まいに

 
─デザインはどのように設計していったのでしょう?

マーナのプロダクトには「使っている時も使っていない時もきれい」というコンセプトがあって、それを軸にデザインを考えました。

─使っている時は、ヘッドのシートの収まりがよくて美しいですね。

見た目の美しさにもこだわりました。シートの収まりをよくするためにヘッドの幅を広くしているんです。幅があることで、シートの余りがはみ出ることなくきれいに収まる。単純にフロアを拭ける面積が大きいので、小さいものより掃除がはかどる側面もあります。

─使っていない時のデザインのこだわりは?

極力シンプルで、部屋のどこに置いてもノイズにならないこと。すぐ使えるように壁に立てかけられて、リビングに違和感なく馴染むように、ポールの素材はアルミではなくマットな質感に。色味はオフホワイトを選びました。

─コードレス掃除機よりももっと気軽に使えそうです。

そういう存在になれたらと、開発しました。掃除をしたあとは、かがまなくても足でヘッドを押さえてポールに固定し、壁に立てかけて収納できます。

─ヘッドがポールにピタッとくっつくので、諦めがちなソファやベッドの下の汚れにもすっと届くのがすごくいいですね。

掃除機もワイパーも高さがあると下に入らないので、ポールを下げたときの高さを極力低くすることを意識しました。ヘッドは360°動くので、向きを変えて隅々まで掃除ができます。

 

いつもの掃除をもっと気軽に、快適に

 
─谷口さんは普段、タッチレスワイパーをどう使っていますか?

夜にリビングの汚れが気になったときはドライシートをつけてさらっと、キッチンの油汚れにはウェットシートをつけてごしごしと、時間や場所、汚れによって使い分けています。掃除機も使っていますが、選択肢が増えたことで掃除がしやすくなりました。

使い心地は、設計上ヘッドが重くなってしまったのですが、安定して拭きやすいというメリットを感じています。洗面室やリビングで使い終わったら立てかけていますが、わざわざ収納しなくてもいいので楽ですね。

─汚れにふれることも、道具を収納することも、“そういうものだ”と思いがちですが、日々の小さな煩わしさは積み重なっていくものなので、解消されるだけで暮らしがより快適になりますね。

汚れにふれたくない方、汚れが気になったときにすぐに掃除をしたい方に、ぜひ試していただきたいです。このタッチレスワイパーが、ユーザーのみなさんのいつもの掃除をもっと気軽に、快適にしてくれることを願います。

写真:小野 奈那子
文:徳 瑠里香