よみもの

vol.4/秋山花さん(イラストレーター)

第4回はイラストレーターの秋山花さんが登場。日常の情景を描いている秋山さんに、暮らし観やマーナ商品の使いこなしを伺いました。

誰かがいた記憶、時の流れまで描けたら

静かな森、雪の降る月夜、あたたかなスープ。さまざまな暮らしのワンシーンを描くイラストレーターの秋山花さん。独特な質感と不思議な世界観ではっと惹きつけられる作品の数々は、雑誌『暮しの手帖』や無印良品などのライフスタイルブランドでも多く起用されています。

幼い頃からアートにふれる機会が多かった秋山さん。絵を描きはじめたのはイラストレーターのご両親の影響でした。

「父も母もイラストレーターで、それこそ幼稚園の頃から、週末は美術館に連れ回されていました。はじめから絵が好きだったわけじゃないんです。静かにしていないといけないし、窮屈だなあと思う時もありました」

幼心に変化の兆しが見えたのは、小学校高学年。メッセージ性を秘めた画家・ブリューゲルの作品にふれた瞬間『絵って面白いかも?』と。加えて当時行く機会が多くあった海外での経験が、シャイだった秋山さんの心を動かしていきます。

「言葉が伝わらなくても、紙とペンさえあればコミュニケーションが取れるんだ!って実感したんです。レストランで父がさっと魚の絵を描いたらオーダーが通ったり、外国の子と隣りあった時、絵を描いて仲良くなったり。絵の力に惹かれていきましたね」

(絵の具と鉛筆で描く。「制作はアナログです」)

今春、マーナからの依頼でハンカチ用イラスト「おさかなスポンジのある暮らし」を制作。

「あれは、私の暮らしのワンシーンです。おさかなスポンジを台所に置いた朝、うちの犬がスポンジに気づいてワンワン吠えて。「あれは何だ!」って。存在感があったんでしょうね(笑)その光景が愛しくて、イラストで表現しました」

(犬がスポンジに気づいた瞬間を“丸”を浮かべて表現)

誰かがいた記憶や、時の流れまで描く。だから秋山さんの絵にふれると、受け手それぞれに物語が立ち上がっていくのかもしれません。

「実はテーマに合わせてストレートに描く気はないんです。ちょっと不思議で『あれ?何だろう?』という表現を入れたい。毒にも薬にもならないし、白でも黒でもないけれど、豊かな存在になれたらと描いています」
 

静けさに寄り添う、頼れるアイテムたち

 
「本当に静かで、この場所は制作にぴったりです」

生前、お父さまが使っていたアトリエが、今は秋山さんのクリエイションの場。日々の制作に寄り添うマーナ商品は?

1つ目はこの春購入した「Everywhereマグ 350mL」。朝、自宅でコーヒーを淹れて持参。マグをかたわらに置きながら、絵を描くのが習慣です。

「角のないフォルムが描く時の思考を遮らなくてお気に入りです。口当たりが心地良いし、飲み口が広いので洗いやすくて。ワンサイズ大きい500mlも買おうか企んでいるくらい(笑)」


Everywhereマグ 350mL
凪をイメージしたカームホワイト色が
ひと息時間に寄り添う

土足OKのアトリエで重宝しているのが「ほうきちりとり」。以前は掃除機を使っていましたが、結論、ほうきって頼れる。

「隅のほこりや細かな土・砂まできれいに集められるので、結局ほうきが一番だなって。私、鉛筆を使うので消しゴムのかすが大量に出るんです。だから仕事終わりに机のまわりをさっと掃いて、アトリエを出るのがいい切り替えになっています」


ほうきちりとり
斜めの毛先が隅にフィット。コンパクトさも◎
「母も買うって言ってました(笑)」

最後は「これは使える!茶しぶ落とし」を絵の具落としに使うこと。お茶碗も筆洗いも陶器だし使えるかも?という秋山さんのアイデアは見事的中。今まではよくある普通のスポンジで洗っていたそうですが…

「アクリル絵の具は乾くとこびりつくのが悩みで。このハード樹脂加工面でこすると、その日ついた絵の具がすっきりきれいになりました。水だけで落とせるし、陶器製のシンク汚れにもぴったりだと思います」


これは使える!茶しぶ落とし
卵型で手になじむのも使いやすい

実は7歳のお子さんを育てる母でもある秋山さん。毎日は「お世話を中心に回っています」とほほえみます。だからこそ一人静かに集中するアトリエ時間は、何にも代えがたいスペシャルなもの。

心地よくなじむデザイン、それでいて機能的。生活だけでなく、制作に邁進するその時間にも、マーナの商品はやさしく寄り添ってくれる。あらたな魅力に光をあててもらえた、そんな昼下がりでした。

Q&A
【Q1】影響を受けたものは?
アメリカの雑誌『The New Yorker』です。時代を反映したメッセージ性のあるイラストに刺激を受け続けています。
 
【Q2】個人的な愛用品は?
「ラプアンカンクリ」のタオルを愛用しています。吸水性があり丈夫。フィンランドは親交の深い友人がいたり、滞在するたび心が洗われる大好きな国なんです。
 
【Q3】マーナの印象を教えてください。
使いはじめると手放せない系ですよね。本当に個人的ですが、創業地が父の故郷と同じ新潟県の長岡。すごくご縁を感じました。

Profile
秋山花さん
イラストレーター。暮らしや自然の情景をモチーフにした作風で、雑誌・書籍・広告など幅広いジャンルで活躍している。
Instagram:@hanaakiyama

写真と文:七緒