料理を楽に、おいしくする「ザルボウル」

2026.2.6

ザルやボウルは、キッチンにあって当たり前の存在です。その当たり前を見直すことから、「ザルボウル」の開発は始まりました。ザルとボウルの役割に向き合う中で、下ごしらえから調理、食卓に出すまで、新しい使い方の可能性が浮かび上がってきました。

【ザルボウル プロダクト担当】長野

より良いものを。「定番」への挑戦

―数あるキッチンツールの中で、なぜザルとボウルを作りはじめたのでしょうか。

ザルやボウルは所有率がとても高い道具です。アンケート調査でも、「1セットだけ持っています」という方は少なくて、2セット、3セットと持っている方も多いことがわかりました。

それだけ使われている道具なのに、「これが一番いい」と言い切れるものは、意外と少ないと感じていて。だからこそ、まだ改善の余地があるんじゃないかと思ったんです。

ただ、ザルやボウルは市場に本当にたくさんありますよね。後発になる分、「ただ作るだけでは意味がない」というのは最初から感じていました。

―開発にあたり、まずどんなことに着目しましたか?

まず目を向けたのは、ザルの「水切れ」です。ザルは毎日のように使う道具だからこそ、「水が切れきらない」「底に水が残る」と感じても、当たり前として見過ごされがちでした。でもザルの役割は、突き詰めると、水を切ること。その基本に立ち返ることから、ザルボウルの開発は本格的に動き出しました。

重ねることで広がった、使い方の可能性

―ザル・ボウル・トレーの3点セットは、どんな流れで生まれたのでしょうか。

最初から3点セットを作ろうと思っていたわけではありません。まずはザルから考え始めて、その後にボウル、トレーという順番でした。

開発の途中、「普段ザルやボウルをどう使っていますか?」と社内でヒアリングをしたんです。すると、そのまま電子レンジに入れて調理しているという声が意外と多くて。

切った野菜を洗ってそのままレンジにかけられたら、洗い物も減るし効率がいい。ザルやボウルは金属製のものも多いですが、プラスチックだから叶う。レンジ調理を助ける道具として、新しい可能性を感じました。

―トレーを加えようと思った理由は何だったのでしょうか。

レンジ調理をするとなると、ラップが必要になります。でも、毎回ラップを使うのはもったいなかったり、ちょっと面倒だったりする。じゃあ、ラップの代わりになるものがあればいいのではないか。そんな発想から、トレーのアイデアが生まれました。

ただ、ぴったり密閉してしまうと、レンジの中で浮いてしまったり、蒸気がうまく逃げなかったりするので、縁にゆるやかなウェーブをつけることで適度に蒸気が抜ける仕様にしました。

(レンジ調理の際は、トレーを上下反対に)

社内で実際にレンジ調理してみると、簡単な蒸し器のような状態になって想像以上においしく仕上がったんです。

―3点セットにする必然性を感じた、別のきっかけもあったそうですね。

社員の自宅にお邪魔して夕食の準備をしている様子を見せてもらった時です。キッチンで、ザルやボウル、容器などを駆使して食材を分類し、シンクの中、調理台、炊飯器の上と、作業ごとに置き場所を分けて使っていました。

そんな姿を見て、ザルやボウルを重ねることでもっと省スペースになるのではないかと思ったんです。そして深さが違えば、重ねてもザルとボウルにそれぞれ一時置きができる。その発想が、ザルを浅くするというアイデアにつながりました。

「水を切る」。ザルの役割と徹底的に向き合う

―開発の中で、特に大変だったことは何ですか。

一番大変だったのは、ザルの目の仕様や配置です。水切れに必要なのは、どれだけ穴が開いているかと、水の流れを妨げないこと。水の流れ方がとても重要なんです。

一般的なザルは、中心に向かって線が集まる構造が多いのですが、生産上の都合もあってどうしても樹脂が密になる部分ができてしまいます。その構造は、水切れの観点からはあまり良い構造とは言えません。

(スリットの向きや流れを何度も検証)

そこで、スリットは水の流れが途中で途切れないように配置。底面も丸くせず少し平らに近い形にし、縁と中央も最大限スリットを入れることで、どこからでも水が下に落ちるよう、細かく検証を重ねました。

調理道具であり、食卓の一部であること

―電子レンジ調理ができることの魅力は何でしょうか。

「楽になる」だけでなく、「おいしくなる」という点だと思います。蒸し器を出すほどではないけれどちょっと蒸したい、というときに本当にちょうどいいんです。

野菜や鶏むね肉など簡単な蒸し調理はぜひ試してほしいです。たとえば、ザルに鶏むね肉を置き、ボウルに大さじ1杯の水を入れ、トレーでふたをしてレンジでチンすると、驚くほど柔らかくしっとりと仕上がります。私は、パンやソーセージを一緒に温めて、朝ごはんにするのが気に入っています。

―食卓に出していても美しいデザインも魅力ですね。

角をできるだけなくして丸みを持たせ、食卓にそのまま出しても違和感のない佇まいもこだわりです。そうめんやざるうどん、フルーツなど、洗ってそのまま盛り付けられるので、別のお皿を用意しなくていいのが楽ですよ。

―改めて、完成したときはどんなお気持ちでしたか?

正直、「やっと形になった」という気持ちが大きかったです。同時に、とにかく細かい調整と検証の連続だったので、簡単な開発なんてひとつもないと、改めて実感させられたアイテムでもありました。

(深ザルが加わり4点、2点セットが登場)

―しかもユーザーの声から、深ザルや18cmサイズが新たに加わったんですよね。

「深いザルがほしい」「サイズ違いがあったら嬉しい」というお声が多く、深ザルや18cmサイズが生まれました。サイズを小さくすると重なり具合も変わって苦戦しましたが、ようやく完成できました。2サイズそろえてちゃんと重ねて収納できるんですよ。

(21cmと18cmの4点セットも重ねてスッキリ)

この「ザルボウル」は、定番の道具だからこそ、長く、自由に使ってもらえたら嬉しいです。

写真:井手 勇貴
文:高野 瞳