2023.10.13
第3回は葉山のアパレルショップ「SUNSHINE+CLOUD」店長の田川薫さんが登場。音楽活動やコーヒー焙煎も行う田川さんの自宅を訪れ、暮らし観やマーナ商品の使いこなしを伺いました。
「僕、コーヒーはホットの方が好きなんです。時の流れや空間をゆっくり楽しめる気がして」
森戸海岸のにぎわいを抜け、築50年を超える庭付きの古い一軒家へ。年月を重ねてきた家に、国内外で集めてきた古道具の数々。時の重なりが生みだす居心地の良さにふれ、少しずつ心がほぐれていくのを感じます。
田川薫さんは葉山のアパレルショップ「SUNSHINE+CLOUD」の店長であり、音楽活動やコーヒーの焙煎も行っています。公私ともに暮らしを慈しむ原点は、実家にありました。
「暮らしに興味をいだいたきっかけは、きっと両親です。特に母が『暮しの手帖』を愛読しており、白玉だんごを一緒に作ったり、益子焼の器を日常的に使ったり。ちょっとした暮らしのものがすぐそばにありました」
「だから上京して、自分の暮らしを一から作るときも、実家で目にしていたものを自然と集めていましたね。少し表情があるものや古いものを」
(ポーランドで出会ったマグカップ)
そのまなざしは音楽活動にも表れています。音楽ユニット「ごがつの日」では作詞作曲を担当。歌詞カードをなぞると、自転車や雨など何気ない記憶のピースが立ちあらわれます。大事にしていることは?とたずねると…
「小さなことを歌うこと。若い頃は世界平和とか大きなものを動かそうと歌っていたけど、ある時『まずは身の回りからだ』と思ったんです。スモールハッピーというか、隣の人の平和をつくる、その積み重ねの先に大きなものを動かす兆しがある」
(家族の記憶がそこかしこに飾られている)
「ちょっとしたごはんをおいしく食べられたら幸せ。夜、こっそり飲むビールがおいしければ幸せ。そうやって生活のハードルを下げて、日々を味わえれば、派手さがなくてもいいかなって」
「淹れ終えたかすを捨てるのはもったいないので、普段はコーヒー染めをしています。以前はそのまま庭で干していましたが、まずはポットに入れて水回りを消臭。そのあと染めに使えば、一度で二度おいしい、活用の幅が広がると思いました」
日常のちょっとしたことを慈しむ。その積み重ねが暮らしを変え、人生を変える兆しになる。まずは身の回りから、と改めて気づかせてもらいました。
写真と文:七緒