よみもの

2019.7.24

こだわりには気づかれなくてもいい?「きれいに暮らすシリーズ『コップ』」開発者インタビュー

使っている時も使っていない時も「きれい」な空間がつくれるようなデザインの「きれいに暮らす。」シリーズ。
今回はシリーズの中でもひときわシンプルな「コップ」の開発裏話をお届けします。一見ひたすらシンプルに見えるこのコップ、実は色々とこだわっているのです。


水切れ良く、衛生的にこだわったコップ。スタンドのありなし、取っ手のありなし、そして白とクリアの2色、全8種類からお選びいただけます。

―――マーナからはこれまでも様々な洗面コップが発売されていますが、今回の「きれいに暮らす。」コップのこだわりは?
「きれいに暮らす。」シリーズは、今までの定番が、今とこれからの暮らしに対して本当に定番になになりうるのか?ということを考え抜いています。
そこで、まずはその大きさから見直すことになりました。
というのも近年、歯磨き粉に入っているフッ素は、あまりすすぎすぎるとその効果が薄くなってしまうという理由から、歯磨きをした後のすすぎ回数を少なめにする方が増えています。また、単純に場所を取らない大きさが求められていたり、個人的にも小さいコップが欲しいな、と思っていたので、サイズにはこだわりました。

―――小さくて丸くてかわいいですよね。
そうなんです。おしりが丸くてかわいいという「形」にもこだわりました。
コップってこんな形だよね?と思い描くものって、「スタイリッシュ」とも言えますが、ちょっと無骨。もっと手になじむ丸みのある形のほうが、今の私たちの暮らしにしっくりくるのではと考えました。
でも、ちょうど良い丸みを見つけるのは難しくて。これは丸くてかわいいね、でもやっぱりもう少し大きくする?いや、やっぱり小さい方がいいね、と何度も試作を重ねました。
最終的には、丸みにこだわった形になったのですが、底が角張ったコップに比べて、置いた時に接地する面が小さくなってしまい、立つのが不安定になってしまいました。そこで、底に厚みをつけて重心が下になるように調整しました。さらに内側を丸くしたことで、洗うのが楽になっています。

―――しかし、すごい数の試作品の数ですね。よく見ると、取っ手がふたつ付いているものも・・・・
形だけではなくて、飲み口の厚さや、心地の良い質感、取っ手の大きさなど、こだわりたいところがたくさんあったので、効率良く確認するために、取っ手を二つ付けて持ち心地を試したり、半円ずつ厚さを変えたりして飲み口部分を確認したりと色々とやりました。

試作品の一部

―――質感も色々と試されていますね。
結果的には、外側はしっとりとした質感に、内側は洗いやすいように光沢のある質感を選びました。

―――そこまでのこだわり、なかなかパッケージを見ただけではわかりませんね。
そうだと思います。でも「きれいに暮らす。」シリーズは「佇まいが素敵だな」「私の暮らしに合ってるな」と感じて手にとっていただき、快適に使っていたら時間が経って自然と暮らしの定番になっていた、というのが最高にハッピーだなと思っています。
ですから、細部までこだわってはいるけれど、こだわりを知って欲しいような、気付かないでほしいような複雑な心境で。他を使った時に、「あー、あのコップのほうが良かった!」と気付いてくれたら嬉しいですね(笑) 失ってはじめていつもある心地よさに気づく・・・みたいな。
でも、愛着を持って使い続けてもらえるのが一番なので、使ってるときに「あっ、ここ、いいな」と何気なく感じてもらえるのがいいですね。

―――複雑な親心ですね。そしてもう一つこの商品の特徴はスタンドですよね。

使いおわったら逆さにしてスタンドに戻す(*スタンドなしもございます。)

そうですね。コップを逆さにして水はけを良くすることはもちろんですが、このスタンドがあることでコップの置き場所が定まります。とくに小さいお子さんがいらっしゃると、口をすすいだ後にコップを適当な場所に置かれてしまいますよね。

―――わかります!戻す場所が決まっていれば片付きますね。このスタンドのアイデアはどんなところから?
もともとマーナには吸盤スタンドがついた「はみがきコップ」という商品があります。吸盤には差し口がついていて、洗面台の上に立てるだけではなく、鏡などの壁面に貼り付けることもできます。 ロングセラー「はみがきコップ ストライプ」

こちらもとても人気がある商品なのですが、壁面に付けてしまうと小さなお子様がうまく収納できないという声があったので、今回はスタンド式にしました。
そして、コップが傾いても洗面台との隙間がきちんとできるように計算しつつ、なるべく低くこじんまりとなるように設計しています。お子様でもスポッと収納できるように。

―――コップを置くと、ゆらゆら揺れるのがかわいいですね。
スタンドとコップとの接地面をシリコーンにしているからですね。初めはプラスチックだったのですが、カツカツ当たるのが気になるということで改良しました。スタンドの底も動きにくいようにシリコーンになっています。

―――色は白とクリアの2種類ですね。「きれいに暮らす。」シリーズの定番は白ですが、クリアも作ったのにはどんなわけが?
水回りのものに求められるのは「清潔感」ですので、クリアも作ることになりました。素材は、樹脂の中でも最もガラスのような透明感を出すことができるメタクリル樹脂(アクリル)を選びました。

ホワイトとクリアの2色展開。洗面台にもなじむ。

―――色が2色、さらにコップは取っ手があるもの、ないもの、そしてスタンドが付いてるものと付いていないもの。8つも種類があるのもこの商品の特徴です。
社内からは、こんなにたくさんの種類を作って大丈夫なの?という声もあったのですが、発売してみたらほとんど差がつくことなく、どの商品も同じくらい売れています。

―――すごい!作った甲斐がありましたね。
本当に、嬉しいです。

―――では、最後に、このコップを取り入れると生活はどんな風に変化すると思いますか?
お子さんがいる方は、コップを元の場所に戻してくれるようになるのは大きな変化かもしれません。正直、このコップを手にされる多くの方は、これまでも洗面コップを使っているだろうし、劇的に生活が変わるということはないかもしれません。でも、存在に気づかないくらい暮らしの中になじんだり、何となく佇まいがかわいくて、愛着を持って使い続けてもらえる存在になれれば嬉しいなと思います。